家再生と一口に言ってもそれぞれの予算や状況に応じて、様々な事例があります。ここでご紹介している事例は、ごく一例ですが全面再生を取り上げております。
その他にも、下水道接続に伴う水廻の改修や、高齢対応等を考慮したバリアフリー対応の改修。寒さ対策のための修繕。省エネ住宅やゼロエネルギー住宅(ソーラー発電等)への転換。
地震対策のための耐震補強等々。様々な再生の形があります。
その家庭の事情や、自然条件を含めた都市的環境、ご近所など人のつながりによって出来る人的環境等、その時々の条件を考慮しながら、適切な判断をすることが重要になってきます。
というのは、一般的には、簡単に買い換えたり建て替えたりはできません。
時代の移り変わりとともに家族全体またはひとりひとりの生活サイクルや、家族構成が変わってくることによって、無駄な空間が出てきてしまったり、使い勝手が悪くなったりと、その時々の環境の変化により、不便さを感じることもあります。
また、老朽化により、建て付けが悪くなり、耐震性能に不安を感じたり、熱効率の悪さから光熱費など経費がかかってしまうことや、所によっては蛇などの侵入も悩みのタネになることがあり、暗くジメジメとした家の中での生活に少なからずストレスを感じたりと、様々な問題が発生します。
生の良さは各家庭の事情や問題に対し、必要なときにそれぞれの条件に応じて、適切な対応が出来るということです。
それは、日本の民家は、その土地で育った木や土・草紙など「地元の自然素材」で成り立っており、その土地々の風土の中で、育った素材が、長い年月の中から生まれた人々の生活文化と、代々受け継がれてきた経験で培われながら洗練されてきた職人の技により、シンプルで強固な構造と空間構成になっているからです。
活の中で家というのは住まう人々の人生の豊かさに大きく影響をあたえるといっても過言ではないと思います。
新しい煌びやかな家にいる人、質素だけれど真の通った滲み出る美しさのある家に住人・・・、その家の特徴は、それぞれの心の中深くに浸透し、影響を与えていくものだと思います。
民家にはどんな建築家もデザインできない「歴史」があります。表面的なデザインではなく必然的に出来た機能美だからこそ、深みのある美しさと、魂に訴えかける説得力を持って存在しているのだと思います。
深い愛情を持って、必要な範囲の中で手を入れていけば、民家はそれに応え、必ず蘇ります。